梅干しの歴史に興味がある、梅干しにはどんな効果があるのか知りたい──そんな疑問をお持ちではありませんか?
古くから梅干しは「梅は三毒を絶つ」といわれ、健康を支える食べ物として親しまれてきました。しかし現代では、“なんとなく体に良さそう”というイメージのまま、具体的な魅力まで知られていない方も多いはずです。
管理人管理人は梅が好きすぎてたまらないのだ
梅干しがもつ本来の力を知ることで、その価値をより深く理解できるようになります。
本記事では、梅干しの歴史、その効果、そして食べる際の注意点までわかりやすく解説しています。ぜひ最後までご覧ください。
その他にも、玄米や味噌、納豆などの日本の伝統食についても解説しているので合わせてご覧ください






梅干しとは


梅干しは、梅の実を塩漬けにし、天日干しで乾燥させてつくる、日本の食文化を代表する伝統的な保存食です。



美味しいよね~!毎日食べてる(笑)
古来より「梅は三毒を絶つ」といわれるほど、その健康効果が知られてきました。
梅干しには、クエン酸をはじめとする有機酸やポリフェノール、ビタミン、ミネラルが豊富に含まれており、疲労回復や食欲増進、抗菌作用など、さまざまな健康効果が期待されています。
現在では、昔ながらの塩分が高い梅干しだけでなく、減塩タイプや蜂蜜漬け、さらにはトマトや唐辛子とともに漬け込んだユニークな調味梅干しなど、多様な種類が市場に出回っています。
日本の家庭の常備品として、おにぎりやお弁当、お茶漬けなど、幅広く活用されています。
梅干しの歴史とは


梅干しの歴史について由来や、名所、時代ごとの梅干しの歴史について確認していきましょう!
名前の由来
「梅干し」という名称は、梅の実を塩漬けにした後、天日で干すこと、すなわち乾燥させる工程に由来しています。



名前の通りだね
この天日干しによって梅の水分が抜かれ、保存性が高まるとともに、梅特有の酸味と塩味が強調されます。
梅の由来
また、「うめ」という言葉の語源には諸説ありますが、梅の木は中国原産であり、日本固有の「やまとことば」がないことから、中国から伝来した梅の音読であると考えられています。
『万葉集』では「ウメ」と呼ばれていましたが、平安時代には「ムメ」に変化したという記録も残されています。
梅の名所
梅干しの原料となる梅の有名な産地は、全国にわたります。
最も有名なのは和歌山県で、梅の収穫量は全国の6割以上を占め、紀州南高梅が日本一のブランドとして知られています。



紀州南高梅知らない人は少ないんじゃないかな?
特にみなべ町は南高梅の発祥の地であり、梅の生産が特に盛んな「梅のまち」です。
また、梅の名所としては、茨城県水戸市の偕楽園が挙げられます。ここは徳川斉昭が梅を植えたのが始まりで、観賞用と備蓄食料としての役割を兼ねていました。
その他、太宰府天満宮の「菅公飛梅伝説」に由来する福岡県の県花が梅であることや、大分県の県花が豊後梅であることも知られています。
時代による梅干しの歴史
梅は中国原産で、日本には奈良時代以前に伝わりました。
当初は花が観賞用として愛され、実は菓子(果物)として楽しまれていましたが、奈良時代以降は、梅の実を燻製にした「烏梅(うばい)」という薬として用いられるようになりました。
平安時代中期には、日本最古の医学書『医心方』にすでに梅干しの効能が記載されており、薬用として重宝されていたことがわかります。
鎌倉時代に武士の間にも広まり、戦国時代には保存性に優れ、手軽な栄養補給源となる梅干しが兵糧食や解毒剤(息合の薬)として活用されました。
江戸時代に入ると、紫蘇漬けなど多様な製法が生まれ、庶民の常備品として広く普及しました。



江戸時代から庶民にも親しまれてきたんだね
梅干しの効果とは


梅干しの効果として、以下が挙げられます。
梅干しの効果
- 疲労回復
- 免疫力の向上
- 血圧が安定する
- 美肌効果
- 腸内環境の改善
- 食欲増進効果
- 動脈硬化防止効果
- 骨を丈夫にする
- 肝機能を助ける
疲労回復
梅干しの酸味の正体であるクエン酸には、疲労回復を促す効果が期待できます。
クエン酸は、激しい運動などで生成され筋肉に蓄積される疲労物質である乳酸の分解を促進し、体外に排出する作用があります。
梅干し1粒には、レモン1個の2〜3倍ものクエン酸が含まれていると言われます。
免疫力の向上
梅干しは、体温を上げ血流を改善することで免疫機能の向上に役立つと考えられています。
梅干しに含まれるビタミンEは高い抗酸化作用を持ち、風邪の予防や免疫力の向上をサポートします。
また、梅エキスに含まれるムメフラールという成分は血流を改善し、代謝を活発にするため、免疫機能が向上し、風邪などの感染症から体を守る力が期待できます。
さらに、梅干しに含まれる植物性乳酸菌が腸内環境を整えることで、腸に存在する免疫細胞の働きを助け、間接的に免疫力を向上させる効果も期待されています。



それぞれ繋がっているんだね
血圧が安定する
梅干しは塩分を多く含みますが、梅に含まれる成分が血圧の上昇を抑える働きがあることが医学的に解明されています。
参考:梅に含まれる成分とその作用



食べ過ぎはダメだけど、血圧を抑える効果もあるんだね
梅干しに含まれるムメフラールという成分には血圧を安定させる作用があるとされています。
また、動脈硬化の発生を抑制する作用もあり、血管を収縮させるホルモンであるアンギオテンシンIIの働きを調整することで血圧の上昇を抑えます。
ただし、梅干しは塩分が非常に高いため、高血圧のリスクを避けるためには、1日1個を目安にするなど、過剰摂取を避けることが重要です。
美肌効果
梅干しには、肌の老化を防ぎ、美しさを保つ抗酸化成分が含まれています。
特に梅リグナンというポリフェノールの一種は、活性酸素を除去する抗酸化作用があるため、肌のシミやしわの原因となる酸化から体を守ります。
また、美肌効果は、梅干しに含まれるビタミンCとクエン酸の抗酸化作用によっても期待されています。
梅干しを食べることで唾液の分泌が促され、これが食中毒菌を殺菌する作用もあるため、体の中から健康を保つことで美肌につながるとも考えられています。
腸内環境の改善
梅干しに含まれる有機酸(クエン酸など)は、腸内環境を整える作用があり、便秘の解消に役立つと言われています。
また、悪玉菌の抑制作用を持つカテキン酸も含まれているため、乳酸菌と相乗効果を発揮し、より高い整腸作用が期待できるでしょう。
食欲増進効果
梅干しの強い酸味は、口の中の唾液腺を刺激し、唾液の分泌を促すため、顕著な食欲増進効果があります。



夏バテにもおすすめの食材だね♪
梅干しに含まれるクエン酸をはじめとする有機酸は、体内の消化器官を刺激し、唾液など消化酵素の分泌を促すことで、消化を助ける働きもします。
食欲がないときでも、梅干しは食事を美味しく食べられるようにサポートしてくれる食品です。
動脈硬化予防効果
梅干しは、血流を改善する作用がある成分を含んでおり、動脈硬化の発生を抑制する効果が期待されています。
押さえておきたいポイント!
梅の果汁を長時間煮詰めた梅エキスに含まれるムメフラールは、血液中の血小板の凝集を抑え、血栓の形成を防ぎ、血流を改善する作用を持つ成分です。
また、梅干しは血管収縮作用を持つホルモン(アンギオテンシンII)の働きを調整することで血圧の上昇を抑えるため、高脂血症による血管内の血栓形成を防ぎ、脳梗塞や心筋梗塞といった動脈硬化に関連する疾病の発症を予防すると考えられています。
骨を丈夫にする
梅干しに含まれるクエン酸は、骨を形成するカルシウムの吸収を助ける働きがあります。
カルシウムはもともと水に溶けにくく吸収率の低い栄養素ですが、クエン酸がカルシウムを体に吸収しやすい水溶性の形に変える「キレート作用」を持つため、腸管からの吸収率をアップさせます。



子供にも食べさせたいね
この作用により、梅干しは骨密度の維持や骨の老化を防ぐ上で非常に重要であり、強い骨づくりに役立つと考えられています。
肝機能を助ける
梅に含まれるピクリン酸という有機酸は、肝臓の機能をサポートし、代謝を高める作用があります。
この働きにより、梅干しは二日酔いの予防や解消に効果が期待できると考えられています。



だから飲んだ翌日は梅オニギリが食べたくなるのか、、、
二日酔いの原因であるアルコールの分解物アセトアルデヒドを肝臓で処理するのを助けるためです。
また、クエン酸も肝臓でのアルコール分解を助け、肝臓に負担をかける物質の排出を促進し、肝臓の健康を保つことにつながります。
梅干を食べる際の注意点とは


梅干しは豊富な健康効果を持つ一方で、塩分が多いため、食べ過ぎると高血圧やむくみの原因になるおそれがあり、摂取量には注意が必要です。



血圧を下げてくれるけど、食べ過ぎはダメ×
昔ながらの梅干しは塩分濃度が20%前後と高く、梅干し1個(可食部20g)で塩分3.6gにもなることがあります。
成人の1日の食塩摂取目標量(男性7.5g未満、女性6.5g未満)を考えると、食べ過ぎは塩分過多につながります。そのため、梅干しは1日1個(可食部10g)までを目安に摂取することが推奨されています。
参考:食塩の取りすぎに注意:農林水産省:農林水産省
また、梅干しの酸味は胃酸の分泌を促すため、胃荒れや胸やけなどで胃の調子が優れないときは、空腹時での摂取を控え、体調に応じて取り入れることが大切です。
腎機能が低下している方は、カリウムの過剰摂取につながる可能性があるため、注意が必要です。
梅干しの作り方とは


梅干しは、主に「梅の選別」「梅の下処理」「塩漬け」「土用干し」といった伝統的な工程を経て作られます。
梅仕事の季節である6月に、傷のない完熟梅を選び、ヘタを取り、焼酎を吹きかけてカビの発生を抑える下処理をします。



ここの工程を見るのが好きなんだよね
次に、梅の実と塩(梅の重さの20%前後が目安)を交互に容器に入れ、重石をして塩漬けにし、水分を抜きます。塩漬けから数日経つと梅酢が上がり、梅の実が浸かります。
梅雨が明けた「夏の土用」と呼ばれる時期に、漬け上がった梅の実をざるに並べ、天日干し(土用干し)を3日ほど行います。
この工程で梅干し特有の風味と食感が生まれます。赤じそ漬けにしない場合は、干さずに梅酢に戻して保存し、干さないものを「梅漬け」として楽しむこともできます。
梅干しに含まれている栄養とは


梅干しは、古くから健康に良いとされる成分が豊富に含まれている伝統的な食品です。以下、それら成分を見ていきましょう。
梅干しの成分
- クエン酸
- ポリフェノール(梅リグナン)
- カリウム
- バニリン
- ムメフラール
- ビタミンE
クエン酸
クエン酸は梅干しの酸味の主成分であり、疲労の原因物質である乳酸の分解を促進し、疲労回復をサポートします。
また、水に溶けにくいカルシウムを吸収しやすい形に変える「キレート作用」により、骨を丈夫にする効果があります。さらに、抗菌作用や食欲増進効果もクエン酸の働きによるものです。
ポリフェノール(梅リグナン)
梅干しに含まれる梅リグナンは、抗酸化作用を持つポリフェノールの一種であり、活性酸素を除去することで、細胞の酸化を防ぎ、美肌効果やアンチエイジングが期待されます。
また、胃がんの原因となるヘリコバクター・ピロリ菌の運動能力を抑制する作用も示唆されています。
カリウム
梅には、ナトリウム(塩分)を体外に排出する作用を持つカリウムが豊富に含まれています。
カリウムは塩分の摂り過ぎを調整するのに役立つミネラルですが、梅干しと調味梅干しでは含有量が異なり、伝統的な梅干しの方が多く含まれます。
バニリン
バニリンは梅に含まれる成分で、脂肪細胞を刺激し、脂肪の燃焼を促す作用があるため、ダイエット効果が期待されています。



焼くのも良いって言われているよね
バニリンは、梅干しを電子レンジなどで加熱することにより増加することが研究で分かっており、効率的な摂取には加熱が推奨されます。
ムメフラール
梅の果汁を長時間煮詰めた梅エキスに含まれるムメフラールは、血流を改善し、動脈硬化の予防が期待されている成分です。
血流改善作用により代謝が高まるため、免疫機能の向上にも役立つとされています。ムメフラールも加熱によって増加することが分かっています,。
ビタミンE
梅干しに含まれるビタミンEは抗酸化作用を持ち、「若返りのビタミン」とも呼ばれ、血行を促進させて血管や細胞の老化を防ぐ働きがあります。
梅干し1個には、リンゴの33倍にあたるビタミンEが含まれているとされています。
梅干しとは関するよくある質問
梅干しの定義は?
日本農林規格(JAS)では、販売されている梅干しを大きく二つの規格に分けて定義しています。
一つは、梅を塩漬けにした後、天日干しをする伝統的な製法で作られたものを「梅干し」と呼びます。この中には、紫蘇漬けも含まれます。
もう一つは、伝統的な梅干しを水に漬けるなどして脱塩(塩を抜く)し、蜂蜜や鰹節などで味付けした調味液に漬け込んで仕上げたものを「調味梅干し」と定義しています。
梅干しはなぜ体にいいのか?
梅干しが体に良いとされるのは、「梅はその日の難のがれ」という言葉が示す通り、その豊富な栄養素と機能性成分が科学的に裏付けられているからです。
主要な成分であるクエン酸には、疲労回復やカルシウム吸収促進、抗菌作用があります。
また、梅リグナン(ポリフェノール)による抗酸化作用、バニリンによる脂肪燃焼作用、ムメフラールによる血流改善作用など、様々な健康効果を持つ成分が凝縮されているためです。
これらの成分が協力し合い、消化促進や免疫力向上など、全身の健康維持に役立つと考えられています。
本当の梅干しとはどんなものですか?
日本農林規格(JAS)でいう「梅干し」は、梅を塩漬けにした後、天日干しをしたものを指します。
一般的に「本当の梅干し」と呼ばれるものは、この伝統的な製法で作られ、塩分濃度が高く(20%前後)、酸味と塩気が強い、梅本来の風味を持つものです。
特に塩だけしか使わず漬け込んだものは「白干梅干し」とも呼ばれます。これらは脱塩や調味が行われる「調味梅干し」とは区別され、栄養素も多く、保存性が高いという特徴があります。
梅干しの効果を一番得られるのは、梅と塩のみのシンプルな梅干しであるとされています。
梅干しが生まれた理由は何ですか?
梅干しが生まれた主な理由は、その薬用効果と高い保存性にあります。
梅の木は中国から伝来しましたが、当初は未熟な梅を燻製にした「烏梅(うばい)」という薬として利用されていました。
平安時代には、梅を塩漬けにして保存する方法が確立され、健康維持や疾病予防のための薬用として用いられていました。
特に、長期間の保存が可能で、軽くて持ち運びやすいという利点から、戦国時代には武士の兵糧食や解毒剤(息合の薬)として戦場で重宝され、広く普及していきました。
このように、梅干しは、人々の健康を守り、長期保存を可能にするために誕生し、発展した伝統食品です。
おすすめの梅干しはありますか?
無添加の梅干しは、梅本来の酸味と旨みをしっかり感じられるのが魅力です。
本記事では、おすすめの梅干しについて詳しく解説しているので、あわせて参考にしてみてください。




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